東洋大・網本佳悟 写真/ナイキジャパン(以下同)
(スポーツライター:酒井 政人)
「結束」して駅伝シーズンへ
5月の全日本大学駅伝関東学連推薦選考会を11秒差で落選した東洋大。しかし、夏合宿を経て、チームは確実に進化している。
そのなかで鉄紺を力強く引っ張っているのが主将・網本佳悟(4年)だ。「個性が強い」という4年生世代。新主将はなかなか決まらなかったが、酒井俊幸監督やコーチ陣から声をかけられたのが網本だった。
「最初は不安もありましたが、やるからにはしっかりやろうと思って、引き受けました」
しかし、全日本選考会で惜敗して、伊勢路の18年連続出場を逃した。「これまでの伝統を自分たちで途切れさせてしまった悔しさがありましたし、先輩方や応援してくださる方々に申し訳ないという気持ちが強かったです。正直、気持ちを切り替えるのは簡単ではありませんでした」と言うが、チームは“鉄紺のプライド”を失っていなかった。
6月22日のあおもりディスタンスチャレンジ記録会10000mと7月20日の関東学生網走夏季記録挑戦競技会10000mで主力メンバーが結果を残すと、チームの雰囲気は上昇。夏合宿では、「主将として背中を見せてチームを引っ張っています。練習では積極的に前を走ったり、後ろからきつそうな選手に声をかけたりしました。生活面でも手本となる行動を心掛けて、注意するべきところは注意する意識を持っています」と網本はチームに戦う気持ちを注入してきた。
夏合宿を終えて、次は学生駅伝。網本はどんな思いで決戦に向かうのか。
「まずは『ベストメンバーで挑む』というのが一番の課題です。夏合宿は良い流れで練習ができているので、今季のテーマである『結束』を大切にしていきたい。出雲駅伝から戦える姿を見せて、箱根駅伝は上位に食い込みたいと思っています。まずは『5位以内』を目標にして、そこからさらに上を目指していきたい。個人的には前回区間賞に届かなかった8区でリベンジしたい気持ちと、復路で大事な9区を走りたいという思いがあります」