今こそ制度改革の「最後の好機」

 また、佳子さまの過密な公務スケジュールの背景には、別の思惑が隠されているかもしれない。それは、水面下で進む、佳子さまのご結婚である。

 今年9月には悠仁さまの成年式が予定されており、当面は学業優先ながら、名実ともに成年皇族として公務の担い手となられる。その状況は、女性皇族を卒業されるカウントダウンの始まりともなり得る。

筑波大の入学式に臨まれる秋篠宮家の長男悠仁さま(2025年4月5日、写真:共同通信社)

 公務をできる限り務め、姉・眞子さんのときのような批判を回避したいとの思いがあっても不思議ではない。だとしても、佳子さまはあの笑顔の奥に、女性皇族であることの“不都合”をどうにかしたいという思いを抱いていらっしゃるのではないだろうか。

秋篠宮ご夫妻の長女眞子さん(2021年11月撮影、写真:共同通信社)

 皇族として国民のために尽くす道と、女性として生涯の伴侶と家庭を築く道──。今の制度では、この二つを両立させることは難しい。

 唯一、高円宮家の三女・守谷絢子さんは結婚と同時に皇籍を離脱し、一般人となってからも日加協会名誉総裁や日本海洋少年団連盟名誉副総裁などの名誉職を続けているが、現役時代のような多忙な公務ではないはずだ。

結婚式を終え、記者の質問に笑顔で答えられる高円宮家の三女絢子さまと守谷慧さん(2018年10月29日、写真:共同通信社)

 女性皇族が安心して将来を描ける制度の整備は、佳子さまや愛子さま個人のためだけではない。皇室の持続性を守り、国民と皇室の関係を次世代に引き継ぐための最低条件だ。

 政治はこの課題から逃げ続けてきたが、もはや時間切れが迫っている。現役世代の女性皇族が公務に携わっている今こそ、制度改革の最後の好機ではないだろうか。

 佳子さまの歩みは、その責務を私たちに突きつけているように感じるのだが、政治がこの問題をなんとかしようと動き出すには、まだまだ時間がかかりそうである。

宮中晩さん会に臨まれる佳子さま(2016年10月撮影、写真:共同通信社)