欧州EV市場をBYDが席巻している(写真:Ying Tang/NurPhoto/共同通信イメージズ)

英国でBYDがテスラを逆転

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[ロンドン発]中国の電気自動車(EV)メーカー、BYDの英国での新車登録台数が今年5月、前年同月の596台から一気に5倍の3025台(前年同月比408%増)に増え、米IT実業家イーロン・マスク氏が最高経営責任者(CEO)を務めるテスラの2016台(前年同月比36%減)を追い抜いた。

 BYDは今年1~5月に1万4807台が新車登録され、昨年同期の2207台から571%増加。一方、テスラは1万5002台で、昨年同期比で7.8%も減少した。ドナルド・トランプ米大統領から突き放され、落ち目のテスラとBYDとの差は急速に縮まっている。

 今年1~5月のBEV(バッテリー電気自動車)新車登録台数は前年同期比33.4%増の17万7487台となり、EVの市場シェアは16.1%から20.9%にハネ上がった。それでも英国政府が定めるゼロ・エミッション車(ZEV)規制目標の28%には遠く及ばない。

 脱炭素化を進める英国では2024年から新車販売のZEV規制が始まり、22%から毎年段階的に乗用車をBEVまたは水素燃料電池車にすることが義務付けられた。規制に違反した場合、メーカーに非ZEVの乗用車1台ごとに最大1万2000ポンド(約237万円)の罰金が課せられる。

 30年にガソリン車、ディーゼル車、35年にハイブリッド車(トヨタ・プリウスや日産のe-POWERシステム車)の新車販売が全面的に禁止される。

 英国自動車製造販売者協会(SMMT)のマイク・ホーズCEOは「新車の値引き販売がEV市場を支えている。この状況は企業が新車開発に投資する能力を損なうため無期限に続けることはできない」と語る。最初の1年半で65億ポンド(約1兆3000億円)の値引きが行われた。