関税交渉にらみインドが米国産原油の輸入を拡大

 ガソリン在庫は増加傾向にあり、直近のガソリン価格は1ガロン=3.14ドルと4年ぶりの低さだ。独立記念日(7月4日)に向けて旅行需要が旺盛になっているにもかかわらず、ガソリン需要が日量860万バレルに減少している。

 米国民は物価高を背景に防衛色を強めており、夏の旅行がより近距離・短期間となったことでガソリンの支出が抑えられている。

 世界第3位の需要国であるインドの原油輸入先の変化も見逃せない。

 OPECの推計によれば、インドの今年の原油需要は前年比3.4%増の日量574万バレル、来年は599万にまで増加する。インドの原油の輸入依存度は9割近くに達しており、昨年度の原油輸入量(平均)は日量488万バレルだった。

 インドの今年1~4月の輸入シェア1位は相変わらずロシアだが、昨年に比べて120%増加した米国が第4位に浮上した。トランプ関税の引き下げを図るため、インド政府が米国産原油の増加を石油企業に要請していることが影響している。

 このことが功を奏したからだろうか、トランプ政権はインドとの貿易協定締結に意欲的になっている感がある。

 現下の需給状況からみて、筆者は「原油価格は年末に向けて下落する」との見方を変えていないが、中東地域の地政学リスクは引き続き要注意だ。