経営危機に陥った日産の株主総会、株主は怒りをぶちまけた(写真:共同通信社)
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(井上 久男:ジャーナリスト)

 経営再建とリストラで揺れている日産自動車の株主総会が6月24日、横浜市内の本社で開催され、株主から怒号が飛ぶ場面があったり、議長を務めたイヴァン・エスピノーサ社長兼CEOの「議長解任」動議が出されたりと、今年は荒れ気味だった。

 2025年3月期決算で6709億円という過去3番目に大きな最終赤字を計上し、無配に転落するため、株主たちの視線は、前CEOの内田誠氏らの経営責任や、無配に転落しても多額の報酬を退任執行役に支給したことに注目が集まった。

 複数の株主から「内田前CEOは反省点をご自身の口で語るべき」「内田前社長は株主に謝罪すべき」といった声が出て、他の出席株主から大きな拍手が沸き起こった。この株主総会で取締役を退任する内田氏は結局、一言もしゃべらなかったため、株主から「喋らないのなら出てくるな」といった罵声も浴びせられた。

 日産は株主総会前日の23日、有価証券報告書を開示した。日産は例年、総会後に開示していたが、加藤勝信金融相が上場企業に対して総会前に開示するように求めたため、その要請に沿ったものと見られる。

 内田氏や、内田体制下で執行役副社長を務め、内田氏と同じく経営責任を取って退任した坂本秀行、中畔邦雄、星野朝子の3氏の報酬額が株主から注目された。24年度の日産の有価証券報告書によると、4人の報酬は次のようになる。