官民あわせて4500万円の寄付や助成金がパー

──助成金が次々と打ち切りになっているそうですね。

玄:逮捕報道から1週間ぐらい経った5月後半だったと思いますが、NPOなどが寄付を募る「コングラント」というファンドレイジングのサービスからの寄付が止まりました。コングラントを含め、民間からの寄付総額およそ1000万円が止まりました。

 それから、新宿区と東京都からの助成金も止まりました。こちらは総額およそ3500万円です。官民両方合わせたらおよそ4500万円、活動費にあたるお金がすべて止まってしまったということです。

──支援打ち切りの通知というのは、どのような形で来るのですか?

玄:助成金は書類の郵送による告知ですね。

 こういう事件が起きれば、新しい寄付や助成金が一定数止まってしまうのは理解できます。だけど非常に困るのは、受け取る予定になっていた今期分の残りまで止められたことです。これは将来ではなく、現状の我々の活動費です。ここを止められたら、今月のやりくりもできなくなってしまう。

 助成金というものは、最初に全額渡されるわけではありません。ものにもよるでしょうが、うちが受けていたものは一定の期間に区切って何度かに分けて支払いがあります。ですから、もらえるはずだった残りの900万円を止められると、すでにいろんな支払いをしてしまった部分をうちの持ち出しにしなければならなくなる。

 逃げ出してきて住むところがない女性に、私たちは団体として宿泊代や交通費など必要な経費を出しています。そのような緊急事態は突然起こるので、いったん我々が前払いして、後から助成金で補ってきました。つまり、補助金が止まってしまうと、払ったきりで入りがなくなってしまうのです。

助成金の支給の詳細が記された資料

──行政側と話し合う機会は持てないのですか?

玄:何度も持ちました。既に決まっているものは止めないでほしいと。でも、逆に事件の詳細を次々聞かれ、それ以上話が進まなくなってしまう。見事なものですよ。残りの支払い分をめぐっては、今も弁護士と一緒に役所に相談に行っています。

 ちょうど来年度の助成金の申請手続きがすべて終わり、次回分ももらえることが決まった矢先にすべてが止まりました。受け取れる活動費も毎年少しずつ増えていたのに。

 関わりのあった事業者も、反社扱いで、うちとのやり取りを次々と断るようになりました。