デリヘルで働くTさんは、大阪の繁華街ミナミのとある有名ホストクラブ店で、あるホストのために3年間にわたり高額なボトルを開け続けたという。ところが、そのホストの売り上げを伸ばすために休みも取らず働き続けたにもかかわらず、無下に扱われ、最後は暴力を振るわれた、とTさんは語る。
たちの悪いカルト宗教と同質に語られるようになったホストクラブの実態とはいかなるものか。警察に告訴状を提出した被害者Tさんに話を聞いた。(聞き手:長野光、ビデオジャーナリスト)
──そのホストの男性とは、どのように出会ったのですか?
T:彼と出会ったのは4年前です。その人が前に所属していたホストクラブで知り合いました。月に10回くらい会うようになり、ほとんどはお店で会っていましたが、アフターで一緒に過ごしたり、休みの日に店外で会ったりすることもありました。
最初の1年半は仲が良かったのですが、些細なやり取りから口論になることが増え、だんだんケンカが多くなりました。今年1月あたりからは、ほとんど毎日のように口論がありました。
──Tさんは今、どんなお仕事をされていますか?
T:デリヘルで働いています。仕事がつらくて「しんどいんだよね」と相談しても、彼から心配の言葉はなく、「仕事だからつらくて当たりまえ」「みんな頑張ってる」などと返されました。
言っていることは分かりますが、デスクワークのような仕事をしているわけではないので、突き放すようなことを言ってほしくありませんでした。「お前が勝手にやっている仕事だろ」と言われ、でも「仕事を休みたい」と言うと、「休むな、行けよ」と言われてきました。
──そのホストの男性と出会ってからTさんの生活や仕事はどう変わりましたか?
T:以前は、週3日か4日くらいデリヘルで働いて、取りたい時に休みも取っていましたが、彼と出会ってからは休みを取ることが少なくなり、月に5日休めたらいいほうという働き方になりました。それも、彼の売り上げを増やすためです。
それでも、会いに行かないとケンカになるから店に通って、結果、家賃が払えなくなったり、銀行口座を差し押さえられたりして生活がだいぶ苦しくなりました。
──Tさんは月にどれくらい稼ぎがあるのですか?
T:100万から200万円くらいです。彼と出会う前は、その半分くらいの稼ぎでも十分暮らせました。
──そのホストの男性には、これまでどれくらいの期間、どれくらいの金額を貢いできましたか?
T:だいたい3年間ほど店に通い、毎月70万円から100万円くらい使ってきました。
──1回お店に行くと、どれくらい使うものなのですか?
T:1回5万円くらいで済むこともありましたが、夏祭りなどイベントの多い店で、イベントがあると「30、40万いってほしい」と頼まれたり、70万円くらいイベントで頼まれたりすることもありました。
──食事代や指名料など、店では何に対してお金を払うのですか?
T:高いのはシャンパンです。指名料とキープボトルにもお金を払います。でも、私はお酒が飲めないのでソフトドリンクでした。
──飲めないのにホストクラブに行っていたのですか?
T:いっぱいお金を使うと売り上げが上がるので、彼のランキングが上がる。飲むのが好きな人なので、飲んで楽しそうにしているところを見るのが嬉しかったのです。