「給食は安くて当たり前」ではない

井上:そもそも、給食無償化に踏み切っていない自治体では、保護者負担の給食費用は「食材費」という扱いで、行政に振り込みます。行政が給食会社に支払うのは、あくまで「調理費用等」です。

 全てのコストが値上がりしている今の日本において、「給食に使う食材費(=保護者から徴収する給食費)を値上げしよう」という動きもあっていいはずですが、それは難しい。保護者からの猛反発に遭い、首長の責任問題に発展する可能性があるからです。歴史的にも、コスト高に見合った給食費アップはほとんど実現した例がありません。

 よって、原材料高騰分は、自治体の予算から新たに賄われることで対応されます。報道によれば、福岡市の今年度の補てん額は3年前の約3倍にまで膨らんでいるとされています。

 学校給食は「食のインフラ」であり、供給を止めるようなことはあってはいけないはずです。保護者の側も「給食は安くて当たり前」という考えはやめるべきです。

──自治体では、学校給食の事業者を入札で決めるのが一般的で、契約期間は3〜5年ほどです。井上さんは従来から「入札において、“安さ”で給食会社を決めるのではなく“信頼できるかどうか”で決定するべきだ」と説いています。