
おかずが「鶏の唐揚げ1個」という給食メニューが物議を醸している。福岡市立小学校で4月に出された給食だ。子どもたちが毎日食べる給食が貧相になっているのではないか…。学校給食を委託する企業へのコンサルティングを手掛ける井上裕基氏は今回のメニューについて、「給食委託会社を責めるのはあまりに酷。保護者と自治体の“給食は安くて当たり前”という意識が給食会社を追い詰めている」という。どういうことか。
(湯浅大輝:フリージャーナリスト)
給食の献立が決まるのは3〜6カ月前
──福岡市の給食が話題になりました。麦ご飯・鶏の唐揚げ1個・春キャベツのみそ汁・牛乳で620キロカロリーとのことです。写真があまりにも貧相に見えるということでSNSでも話題になりましたが、井上さんはこのニュースをどのように受け止めていますか。
井上裕基氏(以下、敬称略):私たちは給食委託会社に対してコンサルティングを行う立場なので、職業的には「物価高で相当大変な中でやりくりされていたんだろうな」と受け止めています。
一方、子どもを持つ保護者の立場では、「さすがにメインのおかずが唐揚げ1個ではかわいそう」とも思います。
そもそも、学校給食は学校給食法に規定されており、日々の献立と使用する食材を決定する主体と責任は、地域の教育委員会等にあります。
実際に調理をする給食会社もしくは運営者は「献立通りに」日々の食事を作る、という立場です。献立に必要な食材の発注は給食会社が行う一方で、「どれくらいの予算の中で、どんな食材を、どれくらい買うのか」を決めるのは自治体・教育委員会等が設置する献立委員会です。

必然的に、自治体・教育委員会が給食をどう捉えているかによって、日々のメニューの質も変わってきます。例えば、東京都足立区は「日本で1番美味しい給食」をビジョンに掲げ、充実した給食を日々提供している一方で、今回の福岡市のような残念なメニューが出される場合もあります。
──毎日提供される給食の献立は、何カ月前くらいに決まっているのですか?