「トランプ氏は前例のないレベルの腐敗を持ち込んだ」
2010年のシチズンズ・ユナイテッド対米連邦選挙委員会事件の米最高裁判決を覆すため活動する政治団体エンド・シチズンズ・ユナイテッドのティファニー・ミュラー代表は「私がいなかったらトランプ氏は選挙に負けていた」とのマスク氏の投稿を共有し、こう問題提起している。
「私たちは歴史上最も費用のかかった選挙の一つを経験したばかりだ。シチズンズ・ユナイテッド判決により、マスク氏のような億万長者が選挙を買収し、大金で政治を腐敗させる道が開かれた。トランプ氏は前例のないレベルの腐敗をワシントンに持ち込んだ」(ミュラー氏)
最高裁は「政治的支出は言論の自由であり、企業や団体にも保障されるべきだ。政府が支出の上限を設けるのは言論統制に当たり、違憲」として、企業、労働組合、その他の外部団体は独立した政治広告に無制限の資金を支出できるとの判決を言い渡した。
この「シチズンズ・ユナイテッド判決」が米国の民主主義の重大な転機になった。企業・富裕層が無制限に資金提供できるようになり、匿名の政治献金が増えた。米キャンペーン団体「公平な税のための米国人」によると、米大統領選年の24年にはわずか100人の億万長者世帯が計26億ドルを投じている。
大統領選が行われた年の選挙にかかった費用は米市民選挙監視団体オープンシークレッツによると次の通りだ。
・2000年:56億1521万ドル
・2004年:68億8947万ドル(政治キャンペーンの資金調達を規制する超党派選挙運動改革法に基づく最初の選挙)
・2008年:75億9478万ドル(民主党のバラク・オバマ候補が公的選挙資金を辞退し、オンラインの小口献金により至上最高額の選挙資金を調達)
・2012年:85億8875万ドル(シチズンズ・ユナイテッド判決後初の選挙で、スーパーPAC[特別政治活動委員会]経由の調達が急増。超党派選挙運動改革法の一部が無効に)
・2016年:85億1029万ドル
・2020年:183億3958万ドル
・2024年:159億106万ドル