ゼレンスキー大統領とウクライナ保安庁のヴァシーリー・マリューク長官(提供:Ukrainian Presidential Press Service/ロイター/アフロ)

(国際ジャーナリスト・木村正人)

ゼレンスキー氏「素晴らしい作戦が遂行された」

[ロンドン発]ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は6月1日、計117機のドローン(無人航空機)を使ってロシア軍の巡航ミサイル搭載戦略爆撃機など40機以上を破壊したと発表した。ロシアの軍事ブロガーは「これは祖国への真珠湾攻撃だ」と報復を求めている。

 ウクライナ保安庁(SBU)のヴァシーリー・マリューク長官から報告を受けたゼレンスキー氏は「前例のない素晴らしい作戦が遂行された。敵地で軍事目標のみを狙った作戦だ。具体的にはウクライナへの攻撃に使用された爆撃機が破壊された。ロシアは甚大な損害を被った」と述べた。

ウクライナの無人機がロシア領内でロシア軍機を攻撃する様子。6月1日にウクライナ保安庁の情報筋が公開したビデオより(提供:Source in the Ukrainian Security Service /AP/アフロ)

 ゼレンスキー氏によると準備に1年半以上。「蜘蛛の巣」と呼ばれる作戦の“オフィス”はロシア国内のロシア保安庁(FSB)本部の隣に設置され、攻撃前に国外に撤収した。ドローンと同数の操縦士が関与し、ロシア空軍基地に配備された戦略爆撃機などの34%を攻撃したという。

 AP通信(6月2日付)によると、匿名を条件にウクライナ軍当局者はゼレンスキー氏が直接指揮を執っていたことを明らかにした。極めて複雑な作戦で、一人称視点(FPV)ドローンをロシアに密かに持ち込んでトラックで移動できる木製コンテナの中に設置した。