戦略爆撃機などの損害額は約1兆円

「ドローンは木製コンテナの中に隠され、トラックに積まれていた。絶好のタイミングでコンテナの屋根が遠隔操作で開けられ、ドローンはロシアの爆撃機を攻撃するため飛び立った」とウクライナ軍当局者は語っている。米政府高官は事前に攻撃を知らされていなかったという。

 ロシアとウクライナの交渉担当者は6月2日にトルコのイスタンブールで2回目の和平交渉を行う予定だが、同月1日、ロシア軍もウクライナ軍施設などに向けて472機のドローンと7発のミサイルを発射。少なくとも12人のウクライナ兵士が死亡、60人以上が負傷した。

 それにしても、いったいロシア空軍はどれだけの損害を被ったのか。

 オーストラリア放送協会(ABC、6月2日付)によると「SBUのドローンがA-50、Tu-95、Tu-22 M3を含む40機以上の航空機を攻撃し、20億ドル以上の損害を与えた」(ウクライナ軍参謀本部)とされ、その後損害は「70億ドル」(約1兆円)に増額された。

ロシア軍の早期警戒管制機「A-50」(Mil.ru, CC BY 4.0, ウィキメディア・コモンズ経由で)

 破壊されたのは早期警戒管制機「A-50」、戦略爆撃機「ツポレフ95」、長距離爆撃機「ツポレフ22M3」とみられる。

どこかの空軍基地の地図に見入るウクライナ保安庁のヴァシーリー・マリューク長官(ウクライナ保安庁のXより)

 オーストラリア陸軍のガス・マクラクラン退役少将はABCに「革新的な方法を見つけ出し、非常に低コストで新技術を適応させるウクライナの能力は驚異的」と語っている。