3度目のオリンピックシーズン
表現を巡る樋口の話と、今日までにみせてきた表現を思い起こす中で、ふと尋ねてみたくなった。
——アイスダンス、やろうと思ったことはありますか?
すかさず答えた。
「ずっと思ってるんですよ。ずっと『やりたい』って言ってるんですけど。もともとアイスダンスのパターンダンスが好きです。一人でやっても難しいステップを2人で合わせるのもすごいなと思うし、シングルの規定にないようなルールがあったり、ダンスみたいな踊らなければいけない部分を作らなければいけなかったり、本当にスケート本来の面白さを感じられる競技だなと思うので、やってみたいなとずっと思ってるんですけど」
ひと息つくと、笑顔で話す。
「でも大変そうなのも知っているので。なんでシングルをやっているかというと、やっぱり協調性がないからだと思うので、ちょっと合わせるのは難しそうかなと思っています。ステップとかでも2人で合わせようとすると狂っちゃったり、男の人がだいたい合わせてくれるんですけど、それでもやっぱりおさえなきゃいけない部分だったり、練習でやっていてもやっぱり難しいです」
閑話休題。
3歳でスケートを始めて20年以上の歩みで培ってきた財産と、休養を経て得た心持ちとともに、今、新たなシーズンを迎えようとしている。それはシニアになってから、3度目のオリンピックシーズンである。
「オリンピックにまた出たいっていう気持ちもあるので、やるからには目指したいというのは今までと変わっていない部分だと思います」