イスラエル批判は反ユダヤ主義ではない

 ガザでの戦闘については、アメリカなどが停戦の仲介を行っているが、思うように進展していない。その間、イスラエルは軍事作戦を強化している。

 3月18日の停戦破棄以来、イスラエル軍は、ハマスの拠点を空爆し、5月18日には大規模な地上侵攻を始めた。多数の死傷者が出るとともに、住民の飢餓状態が続いている。

 5月19日、イギリス、フランス、カナダの首脳は、ガザへの大規模な地上侵攻の即時停止を求める共同声明を出し、応じない場合には制裁措置をとると警告した。5月27日には、イスラエルを擁護してきたドイツのメルツ首相も、民間人を傷つけているとイスラエルを批判した。ドイツは、ヒトラー時代のホロコースト(600万人のユダヤ人を虐殺)の過去があり、それだけに戦後、イスラエルに寄り添ってきたのである。

 5月28日には、EUのカラス上級代表は、イスラエルの空爆は「ハマスとの戦闘に必要な範囲を超えている」と述べている。

 以上のような欧州諸国の批判に対して、トランプ政権は「反ユダヤ主義」として非難するのであろうか。政権維持のためのポピュリズムは、アメリカの権威を貶めている。