イスラエルに2カ月封鎖されたガザの窮状

 5月12日に発表された「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」によれば、ガザ地区の全住民が深刻な食料不安に直面し、人口210万人のうち50万人が飢餓の危険に晒されている。同報告書は、急性栄養失調は今後急速に悪化する可能性があるとも予測した。

 世界保健機関(WHO)も13日、ガザ保健省を引用し、完全封鎖以来57人の子供が栄養失調で死亡したと報告している。このままの状態では、今後11カ月で5歳未満の子供7万人以上が急性栄養失調に陥るという。

 WHOはまた、栄養失調により発育障害、認知発達障害など、子供に長期的かつ深刻なダメージを及ぼすとし、栄養価の高い食料や清潔な水、また医療を受けることができなければ、一世代全体が永続的な影響を受けることになると警告した。

 ユニセフは今月上旬、今年に入ってからすでに9000人以上の子供たちが急性栄養失調の治療を余儀なくされているとした。同時期にBBCが特集した生後6カ月の女児は、体重がわずか2キロしかなく、泣くことさえ困難だという。

 昨秋、国際刑事裁判所(ICC)は、イスラエルのネタニヤフ首相に対し戦争犯罪などの罪で逮捕状を発行しているが、その根拠の一つに戦争の手段としての飢餓をあげている。今回の完全封鎖に対しても、イスラエルは国連や人道支援団体など、国際社会からも飢餓を戦争の武器として使用していると激しく批判されている。

 イスラエル側は、完全封鎖の解除にはハマスに捕らえられている人質の解放が条件だと主張している。