海水の中に金が眠っている?

志田:それは考えにくい。今は衛星なども使って、鉱山大手が世界中で新しい金の権益を探そうとしていますが、なかなかないと言われています。かつて80〜90年代は、南アフリカが世界最大の産金国でしたが、現在はとても少なくなっています。

 あとは残されているのは、海水の中。日本企業も海水から取り出そうと実験はしていますが、これも採算が合うかどうかというところです。

——最近、金が日本に密輸されているという問題もよく聞きます。

志田:日本は金にも消費税がかかっているからです。現在は10%の消費税がかかっていますが、その分だけ国際相場に比べて高くなるということです。税金のない国で買い、日本で売れば10%分の利益が出ることになります。金に消費税をかけたのは一つ大きな間違いだったと思います。

※本稿は個人の見解です。実際の投資に関しては、ご自身の判断と責任において行われますようお願い申し上げます。

志田 富雄(しだ・とみお)
経済コラムニスト。2024年まで日本経済新聞社で編集委員や論説委員。エネルギー、金属市場などの取材歴が30年以上に及ぶコモディティー(商品)分野のスペシャリスト。コメをはじめとする国内の食品市場や水産資源問題にも詳しい。日経電子版「Think!」投稿エキスパート。日本メタル経済研究所特任アナリスト