通貨とゴールドの落ち着いた関係が続いたニクソン・ショック前
第二に、金本位制下では、米ドルとゴールドは、落ち着いた関係が維持されている。ただし、大規模な戦争や経済恐慌の際には、金準備を大きく上回る兌換紙幣の発行が余儀なくされたため、金本位制を停止せざるを得なくなった。
第一次世界大戦では、主要国で金本位制が停止され、さらに世界大恐慌に直面した英国が1931年に再び金本位制を停止すると、事実上、英ポンドを基軸とした金本位制は崩壊したのである。
その後、米国は、1933年に金本位制を停止し、金価格を1トロイオンス=20.67米ドルから35米ドルまで引き上げている。図では、金価格が一時的に上昇し、その後、落ち着きを取り戻しているのが確認されよう。その後、第二次世界大戦の終戦にあたっては、米ドルのみがゴールドと兌換できるブレトンウッズ体制が始まるのであった。
課題は抱えつつも公式には、ゴールドと米ドルは紐付けされ、1971年8月のニクソン・ショックまでは、金価格が安定的に推移したのである。米ドルを基軸とした国際通貨体制が始まったわけである。
つまり、基軸となる国際通貨は、英ポンドから米ドルに変化したものの、通貨とゴールドの関係は概ね安定的に推移したと言えよう。
ニクソン・ショック以降、金価格が急上昇へ
第三に、1971年8月以降は、米ドルによる金兌換が停止され、金価格が糸の切れた凧のように急上昇していく。一方、1980年代から1990年代にかけてのグローバル化の時代に、平和の配当を享受した国際社会は、ゴールドへの関心を失ったかに見えた。しかし、21世紀になってからは、米ドルは、世界中の商取引や金融取引の決済を担う基軸通貨の役割を果たしているものの、再び金価格の上昇が止まらなくなっている。