投資家が金に期待するリスク分散

 かつての通貨であった金の価格は、今や米ドルとは異なる動きをする傾向があるとされる。そのため、資産の分散にとっては好都合だ。

 金価格は、すでに高値圏にあることから短期的な値上がり益を期待すべきではないが、将来、米ドルを基軸にした通貨体制が転換した場合に備えて、長期的に少しだけ保有しておくのは理にかなっている。

 注意すべきは、国際的な取引では、金地金も現在は米ドル建てで取引されているという点である。わが国の投資家が金地金に投資したとしても、米ドル安(円高)になれば円ベースでの評価額は減ってしまう。それを上回るほどに金価格が評価されなければ、わが国の投資家は報われない。

 それだけにゴールドに注目する多くの投資家(米国外)は、基軸通貨の座を退位するならば、米ドルが大幅に下落しても金価格がそれをカバーするほどに上昇するだろうという見通しの下で投資しているともいえよう。

トランプ政権が開けてしまったパンドラの箱

 この判断が正鵠を射ているか分からないが、少なくともトランプ政権が、基軸通貨としての米ドルは持続可能かというパンドラの箱を開いてしまったことだけは確かだ。そのため、ゴールドと米ドルの過去の関係を整理しておくことは、将来、何かの役に立つはずである。

 歴史をさかのぼると、ゴールドと米ドルとの結びつきは、どのような変遷をたどってきたのか。