主食のコメ、安定供給が第一
輸入拡大については、この4月中旬、「高値が続くコメの安定供給に向け、無関税で輸入できる主食用のコメの枠を増やすべきだ」という考え方を財務省が示しました。現在も継続されているコメのミニマム・アクセスでは、主食用の輸入枠は上限10万トン。その上限を引き上げたり、撤廃したりすることで、コメ不足を解消する狙いです。
こうした取り組みが実現すれば、「日本は米国産のコメをもっと買え」というトランプ大統領の求めにも対応できるという発想も含まれているのかもしれません。
いずれにしろ、日本のコメ輸入は今後、米国との関税交渉で大きなテーマの1つとなっていくでしょう。
食管制度の撤廃から今年はちょうど30年。長年の減反政策やコメ作り農家の高齢化・後継者不足などの影響で、コメ作りの現場はやせ細ってきました。日本人は、これからも主食用のコメを安定的に手にすることができるのでしょうか。何よりも大切な「食」の問題だけに、大きな関心を持って見守っていく必要がありそうです。
フロントラインプレス
「誰も知らない世界を 誰もが知る世界に」を掲げる取材記者グループ(代表=高田昌幸・東京都市大学メディア情報学部教授)。2019年に合同会社を設立し、正式に発足。調査報道や手触り感のあるルポを軸に、新しいかたちでニュースを世に送り出す。取材記者や写真家、研究者ら約30人が参加。調査報道については主に「スローニュース」で、ルポや深掘り記事は主に「Yahoo!ニュース オリジナル特集」で発表。その他、東洋経済オンラインなど国内主要メディアでも記事を発表している。
