トランプ関税をめぐり2回目の日米交渉が5月1日に控えています。次の交渉での焦点は何か。自動車関税やコメの輸入拡大などに関する日米の駆け引きについて、経済産業省(旧通商産業省)で対米通商交渉を務めた経験を持つ明星大学教授の細川昌彦氏に聞きました。(聞き手:細田孝宏=JBpress編集長)
(取材日:2025年4月25日)
自動車関税の引き下げが日本経済に急務
——赤沢経済再生相とベッセント財務長官らトランプ政権の2回目の関税交渉が5月1日に控えています。交渉の焦点はなんでしょうか。
細川昌彦・明星大学教授(以下、敬称略):まずは交渉の入り口における「スコーピング」が重要です。先日の赤沢大臣の記者会見でも「スコーピング」という言葉が出てきており、頭には入っていらっしゃるのだと思います。ただ日米間で共通認識がまだ十分できていません。
——スコーピングのポイントはなんでしょうか。
細川:日本にとっての最優先項目は自動車に対する25%の追加関税で、これをスコーピングに含めないと意味がありません。他方、米国側は相互関税の議論のみで済ませようとしています。メディアも相互関税のところばかり報道しています。ただ、日本にとって大事なのは自動車関税です。
日本の自動車関連産業の雇用者数は約550万人で、日本の米国への輸出の3分の1が自動車を占めています。今も、追加関税の25%はかかったままで、交渉が長引けば日本経済にとっても大きな打撃となります。ここがスコーピングに入らなければ、日本の交渉ははっきり言って「負け」です。
——一方で、米国側はどのようなスタンスでしょうか。