穀物ばかりか豚肉まで

 食品加工メーカーが海外に進出。強い円を利用して現地に工場を設立し、現地の安価な労働力と食材を使って現地で食品を生産。これを冷凍して日本へ送る「開発輸入」をはじめたのだ。

 その拠点となったのは、中国やタイだった。中国では野菜も生産してそのままコンテナで日本に運ばれてくるようになった。これが中国への食料依存を高めるきっかけともなり、食料自給率も下がっていく。一方で中国のいわゆる「毒食」が問題となり、日本の消費者心理が大きく揺れ動いたことも歴史が示す通りだ。

 冷凍技術、チルド技術の進歩は、豚肉の自給にも影響を与えた。養豚技術を伝え、太平洋を渡って大量のトウモロコシを日本に送り込むことに成功した米国だったが、いまでは豚肉そのものを日本に輸出してくるようになった。

 米国は、それまで豚肉の純輸入国だったものが、1995年には純輸出国となり、戦略物資として世界中に販売網を広げてきた。やがて世界最大の豚肉の輸出国となり、いまでも最も輸出額が多いのが日本だ。日本の豚肉の自給率は、現在では50%にまで下がり、最も輸入の多い相手国が米国である。