5.解析した電子情報は何に使われるか
解析の結果、兵器の何が判明するのか。
戦闘機が捜索レーダーを作動させれば、レーダー波の特性を解析することにより、戦闘機の種類、例えば、「F-16」「F-15」「F-35」などを区別できる。電波を発した位置も特定できる。
防空レーダーの電波を発していれば、パトリオットミサイルのレーダーかその他のミサイルのレーダーなのかを区別し、発信源の位置を特定できる。
例えば、F-16の電子情報を選び出し、それがどの地域で出ているのかが分かれば、その地域から飛行場の位置を特定できる。
その結果、あらゆる電子情報が飛び交う中で、取り出したい情報を得ることができるようになる。
6.日本周辺で入手した情報の利用法
ウクライナに侵攻を始めた1か月後に、ロシアは情報収集艦で日本周辺の情報収集を再開させた。
行動を開始したことによって、艦の情報収集機能は復活させたのだが、艦の塗装までは、間に合わなかったのか赤錆が目立っていた。
なぜ、日本の周辺に情報収集艦を派遣し、急いで情報活動を再開する必要があったのか。考えられる理由は2つある。
一つは、ウクライナ侵攻に伴い、極東ロシア軍の配備が手薄になり、その地に日米が侵攻するのを恐れ、在日米軍や自衛隊の動きを知る必要があったから。
もう一つは、日本で入手した日米軍の電子情報を収集して、その情報を欧州の戦場正面で使う必要があったから。
ロシアは、ウクライナ戦争開始早々、電子戦で劣勢になった。そのため、迅速にウクライナ軍の電子情報を入手する必要に迫られた。
戦争を実施している場合、電子戦機が前線近くまで飛行すれば、撃墜される可能性があるために、電子情報を入手することは難しい。
ロシアは、ウクライナが欧米から供与された兵器は、極東の日本でも使用されていることに気付いた。
例えば、パトリオットミサイル、F-16戦闘機の電子情報は日本で入手できるということだ。
これらの電子情報を入手して、ウクライナにおける配置や活動の位置情報を知り、ミサイル攻撃に生かしたかったのだろう。