2.どのような情報を入手していたのか
情報活動を再開したロシアの情報収集艦は、まず最初に対馬海峡を周回する動きを見せた。
つまり、ロシアが侵攻後最初に情報を収集したかった地域(基地)がここである。
対馬に近いのが佐世保市内の在日米海軍基地と陸自相浦駐屯地である。
米軍の第7艦隊の強襲揚陸艦群の母港であり、陸自の水陸機動団本部が所在する。
強襲揚陸艦群や水陸機動団は、海上から侵攻する場合に、最初に侵攻するために敵前上陸する部隊である。
ロシアは、これらの部隊の動向を最も早く知りたかったために、情報収集艦を向かわせたのだろう。
その後の情報収集艦の活動範囲は、日本を1周し主に太平洋沿岸部に接近する場合だと、沖縄・九州東部に接近していた。
日本を1周する場合は、在日米軍や自衛隊の全域の基地を調べている。
太平洋沿岸部を焦点に活動する場合は、北は青森県の三沢基地にある米軍「F-16」戦闘機、関東では米海軍第7艦隊、横田在日米軍司令部、主に関東に展開する空自のパトリオットミサイルのレーダー基地、上陸部隊となる岩国の米軍海兵隊を調べている。
自衛隊の部隊よりも在日米軍に重点を置いているようだ。
沖縄・九州東部の海域に位置する場合は、上陸部隊となる山口県の米海兵隊岩国航空基地、長崎県佐世保市の日米の強襲揚陸群・水陸機動団、沖縄の第3海兵遠征軍司令部を調べている。
これらは、日米の上陸部隊の動向を調べることが重点のようだ。
図2 ロシア情報収集艦の情報収集活動の実態と注目のイメージ
