4.情報収集機も継続して日本接近飛行

 これまで日本に接近して情報収集していた情報収集機種は、前述したとおりである。

 それらの行動範囲は機種によって異なり、大型機のTu-95やTu-142は、日本を1周する動きや太平洋に出て九州付近まで、中型機のIL-20・IL-38は太平洋に出て三陸海岸や日本海側全域を、戦闘機タイプのSu-24は日本海の一部を飛行し、情報収集している。

図3 各偵察機日本周辺活動例

左:2024年9月、中:2018年2月、右:2023年10月(出典:統合幕僚監部プレスリリース)

 これらの情報収集機のほとんどは、ウクライナ戦争の時期に関係なく、常時、日本に接近して情報を収集している。

 しかし、Su-24戦術偵察機だけは、ウクライナ侵攻後、日本周辺での活動はない。すべてが、ウクライナ正面に転用されたからだろう。
 
 情報収集機は、前述した図3の経路を一定の速度で移動していて、ある一定の空域に留まり、情報収集することはなかった。

 ということは、通信電波を傍受はしているが、主にレーダーなどの電子情報を録音して、母基地に帰投しているとみられる。

 では、どの兵器の電子情報を収集しているのか。

 空自の監視レーダー、パトリオット防空ミサイル、米空軍戦闘機のレーダー、米海軍艦艇の監視・捜索レーダー情報などを収集している。

 情報収集機は、一定の速度で飛行しているために、ターゲットの情報を入手する時間が少ない。

 また、相手国が情報収集機の接近を知り、電波を発信しなければ、電子情報は取れない。