そこで提案したいのは、CMを公益社団法人ACジャパンの公共広告に差し替えるように、テレビでこうした不祥事があった場合、ゴールデン番組を1時間単位で別の番組に差し替えることを求めるやり方です。
フジテレビであれば、まず、事案についての検証番組、そして、「人権問題」をテーマにした啓発番組をCMなしで放送してはどうでしょうか。
ひとくちに人権といってもいろいろあるので、今回の性暴力に関係する内容だけではなく、「こどもと人権」「表現の自由と人権」「AIと人権」など、人権に絡めたテーマで複数回、番組を放送するよう求めるのです。放送する番組の数は、放送倫理・番組向上機構(BPO)のような機関が、事案の重大さに応じて決めたらよいでしょう。
何ら実害を被らない「厳重注意」でもなく、「停波」でもなく、公共性の高い番組を放送することで、放送局ならではの「けじめ」をつけてもらうということです。
またもBPO審議入りの番組が
フジテレビ問題で陰に隠れていますが、また新たに「放送倫理違反の疑い」でBPOが4月14日に審議入りした事案があります。日本テレビのバラエティー番組『月曜から夜ふかし』で、街頭インタビューに答えた中国出身の女性が、本当はそう発言していないのに、「中国ではカラスを食べる」と発言したように意図的な編集をしたことです。
これまでに放送局は、何度も「やらせ」「捏造」を繰り返し、BPOから「放送倫理違反」の判定を受け、そのたびに「再発防止を徹底します」と、反省の弁も繰り返してきました。
総務省の行政指導もBPOの勧告も、不名誉なことではありますが、ほとんど実害がなく抑止効果が弱いのです。そのために、視聴者を騙すような手法が絶えず、放送倫理や人権意識が根付かないのではないでしょうか。
放送局はよく「報道機関として」「報道の自由」という言葉を使いますが、報道機関の矜持が危ういようなトラブルが多発し、「鍍金(メッキ)が剥がれたか?」と感じる機会が増えました。
放送行政、放送文化といった、言わば閉じたムラ社会の中だけで通用する内向きの論理に終始していると、ムラの外にいる大多数の国民は白けるばかりです。