「優先交渉権」の本当の意味とは

——為替市場においては、かねてよりトランプ氏はドル安・円高に戻していきたいという発言がありました。日米交渉では円高誘導がテーマになるのでしょうか。

細川:ベッセント財務長官が日本との交渉の場につくということは、まさに為替問題についても日本と議論していくということです。財務省も赤沢経済再生相をサポートしていきます。

 日本が優先交渉権を与えられたと喜んでいる人もいますが、私は喜んでいる場合ではないと思います。米国は日本だけでなく他国に対してもドル安誘導にしていきたいなか、日本が一番話をまとめやすいということです。

——日本は米国の言うことを聞くと。

細川:ケンカの作法として「ケンカしやすい奴からケンカする」というのがトランプ流です。日本は自動車と農産物という問題点も絞られていて交渉しやすい。日本のようにやりやすい国を先例にしていく米国側の発想です。最初に選ばれて喜んでいる場合ではありません。

——株式市場では円高になると輸出株を中心に株安が懸念されます。日本はどういうスタンスで臨むべきでしょうか。

細川:極端な円高だと困りますが、今の水準からすると多少円高に振れても仕方ないかと思います。為替を予想するのは難しいですが、1ドル130円台も十分あり得ます。円高基調になるという受け止めをしておくべきでしょう。

——米国と中国は互いに高い関税を掛け合い、対立を深めています。今後、どうなっていくのでしょうか。