「プーチンは明らかにグロゼフ氏を憎んでいる」
3人の足取りを調べると、時間と場所からブルガリア武器商人暗殺未遂や複数の軍需品爆発への関与が芋づる式に分かってきた。計50人のスパイが判明した。19年にベルリンで起きたチェチェン系グルジア人亡命者射殺犯はプーチンに近い情報機関上級幹部と突き止めた。
グロゼフ氏はロシア内務省によって指名手配リストに加えられた。


ロシア反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏毒殺未遂では数年にわたり彼を付け狙っていた8人を割り出した。グロゼフ氏は「彼を含めた全員が交換される合意に近づいているという確証を得ていたが、その翌日、死体になって発見された」とタイムズ紙で振り返っている。
「自分がハッキングの標的になっていることは知っていた。おかしいと気づいたのは21年に会議に出席していたモンテネグロで携帯電話が1台なくなった時だ。使い捨ての携帯電話だったので重要なデータは入っていなかったが、ホテルの部屋からなくなった」(グロゼフ氏)
グロゼフ氏は父を亡くしている。警察から父のアパートの外で自撮りするスパイの写真を見せられたが、ロシアの関与は分からない。ブルガリア人スパイは「プーチンは明らかにグロゼフ氏を憎んでいる。だから私たちはこれをやらなければならない」とチャットに書き込んでいた。