戦闘はウクライナのスームィ州に移る可能性が高い

 ロシア軍はあまり抵抗を受けることなくスジャ中心部に入った。ウクライナ軍部隊が国境に向け退却したため、直接的な戦闘はほとんどなかった。 残るウクライナ軍の拠点も今後数日のうちに陥落し、戦闘はウクライナのスームィ州に移る可能性が高いとMeduzaは分析する。

 ウクライナが支配するクルスク州の面積は昨年8月の1300平方キロメートル近くから80平方キロメートル未満に激減した。

3月15日、ロシア国防省報道局が公開したウクライナ軍から奪還したクルスク州スジャの状況を伝える映像(提供:Russian Defense Ministry Press Service/AP/アフロ)

 英BBC放送(17日付)は「すべてが終わった。前線から退却する際“ホラー映画のような”光景を見た」というクルスクから退却したウクライナ兵の声を伝えている。激しい砲火を前に壊滅的な退却を強いられ、ドローン(無人機)の大群による絶え間ない攻撃を受けたという。

 3月9日に依然としてスジャに留まっていたウクライナ兵は「パニックと前線の崩壊が起きている。道路を使って退却する部隊と装備の一部はロシア軍のドローンによって焼かれている。日中の退却は不可能だ」とメッセージアプリ「テレグラム」を使ってBBCに伝えてきた。

 BBCによると、ウクライナ軍の兵站はクルスク州スジャとウクライナのスームィ州を結ぶ高速道路に頼っていた。1カ月前までは比較的安全に通行できたが、ロシア軍の本格攻勢が始まると、ドローンが24時間、飛び交い、1分間で2~3機を目撃する頻度まで上昇した。