1、極超音速滑空弾(HGV)の特徴
HVGは、弾道ミサイルなどで大気圏外に打上げられ、切り離された後、大気圏内をマッハ 5〜20の極超音速でスキップや滑空しながらかつ機動しながら標的に接近し、最後はダイブして標的に到達する。
HGVは、大気圏外の宇宙空間に飛び出さずに希薄な大気が残る高高度を飛ぶことにより、弾道ミサイル防衛用の大気圏外迎撃ミサイルをすべて無力化する。
また、HGVは弾道ミサイルとは異なり、弾道軌道を飛行せず、低高度を極超音速で飛行し、目的地に向かう途中で機動することができる。
すなわち、HGVはその速度、機動性、低高度飛行により敵の探知と防御を難しくする。
そもそも、地上配備レーダーでは、当該空域を低高度で飛行する飛翔体を探知することは物理的に困難である。
地球が湾曲しているため、「レーダー電波の水平線」の下方にある低高度目標を捜索・探知することができない。
下図1は、地上配備のレーダーによる弾道ミサイルとHGVの探知距離の違いを示している。
図1:地上配備のレーダーによる弾道ミサイルとHGVの探知距離比較

この探知の遅れは、意思決定者が対応策を評価するための時間および防御システムがHVGの(たぶんたった1回の)迎撃時間を短縮する。
ステルス技術を取り入れたHGVの探知・追跡は、より一層挑戦的なものとなるであろう。