備蓄の基本8品目とは

 1年ほど前の能登半島地震を見ても明らかなように、災害発生の直後、現地は大混乱しています。被災地の要望を聞き取ってから支援に乗り出す「プル型支援」を実施しようとしても、地元の役所や公民館なども被災し、被災者と連絡がつかないケースも多発するでしょう。そうした場合に、被災地の要望があろうとなかろうと、事前に想定した内容に沿って緊急支援物資を現地に送り込むのが「プッシュ型支援」です。

 現在稼働中の立川の備蓄拠点は、そのプッシュ型支援で現地に輸送する物資を保管しているのです。備蓄は、「基本8品目」を中心としています。

①食料(パックご飯やアルファ化米など)、②毛布、③乳児用粉ミルクまたは乳児用液体ミルク、④乳児・小児用おむつ、⑤大人用おむつ、⑥携帯トイレ・簡易トイレ、⑦トイレットペーパー、⑧生理用品の8品目です。

 いずれも被災者の命と最低限の生活環境を維持するために不可欠の品々とされています。

 このほか、熱中症対策に不可欠な冷房機器、感染症対策に必要なマスクや消毒液なども被災地に緊急輸送されます。ただし、備蓄拠点では、これらすべてを倉庫に備えるわけではありません。乳児用の液体ミルクやトイレットペーパーなどの生活用品を中心に、民間の流通在庫からも必要量を確保する仕組みを取っています。

 では、実際の「プッシュ型支援」では、どのような品々が被災地に緊急輸送されるのでしょうか。能登半島地震の場合、次ページのような状況でした。