ドイツ総選挙で第1党となった中道保守のCDU/CSUを率いるメルツ氏(写真:AP/アフロ)

2月23日に投開票されたドイツ連邦議会の総選挙で、与党の社会民主党(SPD)が惨敗し、最大野党だったキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が第1党に返り咲きました。政権交代が確実になると同時に、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が第2党に躍進し、注目を集めています。右傾化するドイツはどこへ向かうのでしょうか。ウクライナ戦争や米国のトランプ政権誕生なども踏まえながら、「総選挙後のドイツ」をやさしく解説します。

西村卓也:フリーランス記者、フロントラインプレス

そもそもドイツの連邦議会とは

 二院制のドイツでは、上院(連邦参議院)は各州政府の代表によって構成されており、国民の選挙で選ばれた議会ではありません。「総選挙」とは下院の連邦議会選挙のことです。

 任期は4年、有権者は18歳以上。小選挙区と比例代表を組み合わせた小選挙区比例代表併用制を採用、有権者は1人2票を持っており、1票は小選挙区の候補、もう1票は比例代表で政党に投票します。前回2021年の総選挙までは選挙結果によって総議席数が変わるシステムでしたが、2023年の選挙制度改革で定数は630に固定されました。

 今回の総選挙は、ドイツとしては20年ぶりの議会解散による選挙でした。

 ドイツでは、社会民主党(SPD)、緑の党、自由民主党(FDP)による3党連立政権が続いていました。しかし、2025年度予算案をめぐって、3党の意見がまとまらず、SPDのオラフ・ショルツ首相は2024年11月、FDPのリントナー財務相を罷免。その混乱によって連立が崩壊しました。

 その後、ショルツ首相は連邦議会で自身の信任投票を実施したものの、反対多数で否決され、議会の解散に至っていました。

 総選挙の結果はどうだったでしょうか。

図:フロントラインプレス作成

 中道保守のCDU/CSUは前回総選挙から4.4ポイント増の28.6%の得票率で208議席を獲得し、第1党になりました。第2党になったのは極右のAfD。得票率は前回から10.4ポイントも増やして20.8%となり、議席数は152に躍進しました。

 これとは逆に、ショルツ首相率いるSPDは9.3ポイント減の16.4%となり、議席を大きく減らして120議席に落ち込みました。大敗です。 SPDと連立を組んでいた緑の党は33議席減の85議席、同じく連立与党だった自由民主党(FDP)に至っては議席獲得に必要な5%に届かず、議席はゼロとなりました。

 与党はなぜ、ここまで惨敗したのでしょうか。