
(白石 拓:作家・サイエンスライター)
阪神・淡路大震災で再認識した都市直下型地震の恐怖
30年前の1995年1月17日、まだ夜が明ける前の午前5時46分に、淡路島の北東約3kmの明石海峡を震源とするマグニチュード7.3(以下、M7.3と表記)の大地震が発生しました。阪神・淡路大震災を引き起こした兵庫県南部地震です。地震による揺れは関西一円にとどまらず、遠く九州や東北地方にまで達しました。
とくに震源に近い神戸市や芦屋市、西宮市、淡路島の一部などでは最大震度7を記録し、人口密集地が襲われたことで、甚大な被害が生じました。倒壊したビル、横倒しになった阪神高速道路等、神戸市の衝撃的な映像に、大都市直下型地震の脅威に戦慄を覚えた年輩者も多いことでしょう。死者・行方不明者は6437人を数え、20世紀以降では1923年の関東大震災(同10万5385人)、2011年の東日本大震災(同2万2312人)に次ぐ、3番目の人的被害をもたらしました。
兵庫県南部地震は野島断層が動いて起こった
地球上で起こる地震のほとんどは、2つのプレートが衝突する力によって引き起こされます。その力がプレート境界近くの岩盤を破壊することで生じる地震を「プレート境界型地震」といい、東日本大震災(M9.0)を引き起こした東北地方太平洋沖地震はこのタイプの地震でした。
それに対して、兵庫県南部地震はプレート境界から離れた内陸部の活断層で起こった地震であり、「内陸地震」または「活断層地震」と呼ばれます。プレート間の力が内陸部に伝わり岩盤が破壊されて地震が生じるのですが、このとき岩盤及び地盤がずれたところを「断層」といい、過去数十万年の間に繰り返し地震を起こし、今後も活動すると考えられる断層を「活断層」と呼んでいます。
兵庫県南部地震は、神戸市の直下に近い野島断層と呼ばれる活断層が動いて生じました。地震後の調査で地上に表出した断層の長さは約9kmで、水平方向に最大210cm、上下方向に最大140cmのずれが生じていました。
