トランプとプーチンが共有するルネ・ゲノンの「現代世界の危機」観
バノン、ドゥギン両氏から学んだ米ロ指導者の「保守改革」とは
2025.2.26(水)
高濱 賛
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戦略家バノンも「ゲノン教信者」
トランプ氏の第1期政権下で首席戦略官として活躍したスティーブ・バノン氏という実践的インテリがいる。
その後、2021年1月6日の米議会乱入事件をめぐって議会からの証人喚問要求を蹴って議会侮辱罪で4か月服役した。
マスク氏の登場で今は一寸影が薄くなっているが、トランプ氏の政治思想に貴重な影響を与えた人物だ。
そのバノン氏がなんと「政治思想の父」と敬愛しているのが、前述のルネ・ゲノン氏なのだ。
バノン氏はウクライナの親ロシア分離主義者が形成した「アゾフ旅団」を支持してきた。
トランプ氏のウクライナに対する冷ややかな対応は、バノン氏の影響を受けているのは間違いなさそうだ。
ゲノン氏の「現代世界の危機」観は米ロの保守主義者たちによって共有され、トランプ、プーチンという双方の指導者に共通の価値観を根付かせている。
トランプ氏とプーチン氏とが馬が合うのはむしろ自然の流れかもしれない。
南ア育ちのマスクは白人至上主義者
最後に、クレムリンから注目されている億万長者マスク氏だが、2013年以降、プーチン氏と40回以上、電話で話し合っているという。
電気自動車テスラ、スペースX、SNSのX(旧ツイッター)、スターリンクなど現代テクノロジー王国の総帥なだけにプーチン氏も話したいことは山ほどあるのは分かる。
ウォールストリート・ジャーナルによれば、プーチン氏は電話でマスク氏に台湾上空にスターリンクの衛星を展開しないように要請したことがあるという。
マスク氏がルネ・ゲノンの影響を受けたかどうかは不明だが、幼年期を黒人国家・南アフリカで育ち、差別されたことで白人至上主義者になったとも言われている。
その点でプーチン氏と気が合ったとしても不思議ではない。
(Here's a look at Musk's contact with Putin and why it matters)
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