組織人として自分はどう生きるべきなのか
同時に、オンラインメディアやSNSの中から信頼に足る情報を探すのは、砂漠で落とした針を探すような困難を伴います。もはや私たち一般国民は、かなりのリテラシーをもって情報を自ら発掘しにいかなければならない時代になったのです。
フジテレビだけでなく、マスメディアに勤める人たちは、こうした時代の変化と真摯に向き合い、その持てる力をただ組織防衛に使うだけではなく、自らに「どう生きるか?」という問いを投げかけ、それに答える努力をしなければなりません。
組織改革のために立ち上がるのか、組織にしがみついてタイタニックの席取り争いをするのか、それとも組織を飛び出して一人荒野を歩むのか。いずれにしても、もはや「カイシャ」という魔術は解けてしまったのです。
1937年の日中戦争の最中、命が危険にさらされる状況の中で「どう生きるか?」を考えた中学生と同じように、組織人として自分はどう生きるべきなのかを真剣に考えてみる…これが21世紀の「君たちはどう生きるか」なのです。
堀内 勉(ほりうち・つとむ)
多摩大学大学院教授 多摩大学サステナビリティ経営研究所所長
東京大学法学部卒、ハーバード大学法律大学院修士課程修了、東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム(EMP)修了。日本興業銀行(現みずほ FG)、ゴールドマンサックス証券、森ビル・インベストメントマネジメント代表取締役社長、森ビル取締役専務執行役員CFO、アクアイグニス取締役会長等を歴任。現在、多摩大学サステナビリティ経営研究所所長、上智大学知のエグゼクティブサロン・プログラムコーディネーター、一般社団法人100年企業戦略研究所所長、一般財団法人社会変革推進財団評議員、一般社団法人アジアソサエティ・ジャパンセンター理事兼アート委員会共同委員長、経済同友会幹事兼リベラルアーツプログラム共同委員長、ボルテックス取締役会長等。著書に『読書大全』『人生を変える読書』『ファイナンスの哲学』等がある。