資本主義社会の中で成功するための勝ち筋とは……(写真:Trickster/イメージマート)
【前編から読む】
資本主義社会を生き抜く「勝ち筋」を考える 不平等が拡大し続ける「不都合な真実」にどう対抗するか
(堀内 勉:多摩大学大学院教授 多摩大学サステナビリティ経営研究所所長)
本記事の前編では、資本主義社会の中でどのように生きるのが勝ち筋なのかを検討し、いくつかのパターンが見えてきました。後編では、その「勝ち筋」についてさらに解説します。
【記事前編】
資本主義社会を生き抜く「勝ち筋」を考える 不平等が拡大し続ける「不都合が真実」にどう対抗するか
「勝ち筋」となり得る4つのパターン
①若いうちにできるだけ早いタイミングで元手を作り、投資家としての道を歩む
単純に人生の後半を楽したいのであれば、いま流行りの「FIRE(Financial Independence, Retire Early)」、即ち、経済的な自立と早期のリタイアを目指すことです。一人の人間が使えるお金には限りがありますから、より大きな元手を作ることができれば、投資の配当だけで生活費が賄え、元本を減らすことなく巡航速度に入ることができます。
②自らが働かなくても自動的にお金が手元に入ってくるビジネスモデルを構築する
これはまさに、世界的な大ベストセラーになった、ロバート・キヨサキの『金持ち父さん 貧乏父さん』が勧める勝ちパターンです。企業経営のノウハウを身に付けるために、その前段階としてとりあえず大組織に入って、社会人としての基本動作を身に付けたら、早々に起業するという、二段階のやり方もあると思います。
ただ、起業家の堀江貴文氏などは、こうした「とりあえず」という考え方は、貴重な時間の無駄だとして強く否定していますが。
③自分の中ではっきりしている「これを成し遂げたい」「こういう社会を作りたい」という強い思いの事業化に邁進する
こうした根っからの起業家は、迷わずこれに突き進んでもらいたいと思います。昔と違って、今は借金を返すために命まで差し出す必要はありませんし、アメリカほどではないにせよ、日本社会も段々と失敗に対して寛容になっていますし、リスクマネーも増えてきています。
私たちが目の当たりにしてきた「すごい」起業家には、生まれつきこうした強いアスピレーション(大志)を持った人が多いです。ただ、そもそも「やりたいことが分からない」という普通の若者にとっては、取り得ない選択肢ということになります。
④一生涯通用する専門的な技能を身に付けて、プロフェッショナルとして生きる
稼いだお金を有価証券や不動産への投資に振り向け、本業からの収入との「二刀流」を実現できれば、大金持ちになることは難しくても、余裕を持った後半生を送ることができます。
これら①〜④以外にも、大きな組織に身を寄せ、実際にあるかないか不確かな「安心・安全」を信じて生きるという考え方もあると思います。人生の選択は人ぞれぞれですし、可能性は低いと思いますが、運が良ければうまく乗り切れるかも知れませんし、最後まで隆々とした組織の中で頂点を極め、最後は経営者として資本家の末席に加われるかも知れません。
でも、多くの場合において、50代後半からはだんだんと組織の中での居場所を失い、金銭的な余裕も少なくなっていきますので、今の世の中においては、なかなか無邪気に信じる気にはなれないかも知れません。