創業者・梁文鋒の素顔とは
開発したのは1985年生まれの天才AI愛好家、梁文鋒と、彼が率いるわずか140人弱のチームという。梁文鋒は父親が小学校教師の一般家庭に生まれ、17歳で浙江大学電子情報工学部に入学、その8年後には情報通信工学修士号をとった。
在学中に金融市場に興味を持ち、2008年のリーマンショックの時に自身のチームで完全自動の株取引アプリの可能性を追求。卒業後は杭州で同級生とクオンツ投資に特化した企業を創設した。それが後に有名になる幻方科技有限公司だ。
2016年、幻方はディープラーニングに基づく初のトレーディングモデルを立ち上げ、クオンツ投資の戦略を完全AI化することに成功。2018年、幻方はAIを中心とした開発戦略を正式に確立し、2021年にその資産管理規模は1000億ドルの大台を超えるようになった。今では国内クオンツ・プライベート・エクイティ分野の「四天王」の1つに数えられている。

DeepSeekはその幻方の投資によってつくられた汎用型AIの開発・運営企業である。2023年5月からDeepSeekの名前を冠するAIが次々とリリースされた。このAIは、AIで先行した大手IT企業のバイトダンスやテンセント、百度、アリババとの価格競争を勝ち抜き、収益を確保しながら性能を向上させ続けている。
今回リリースされたDeepSeekの最新モデル「R1」は数学、コード、自然言語推理などを統合し、DeepSeekシリーズの中で最も完成されたAIという評価を得ている。
リリース直後からこのAIがどれほどの性能なのか、ユーザーたちがこぞって試し始めた。一番気になるのは、中国の検閲体制の中で、真に国際的に利用価値のあるAIが誕生したと言えるのか、だ。次にセキュリティ問題である。