暑くも寒くもない季節に気候変動の影響を受ける傾向

 続いて、どういう時期に気候変動の影響を受けやすいかを見ていく。

 昨年も一昨年も、夏場に各地で連日猛暑日(最高気温35℃以上の日)が続いた。そうしたことを踏まえると、温暖化により、熱中症などの夏場の死亡が増加するように感じられる。実際、今回の予測では、気候変動が進んだ場合、夏場の死亡数が増加する結果となっている。

【グラフ】年々増えている熱中症警戒アラートの発表数年々増えている熱中症警戒アラートの発表数(グラフ:共同通信社)
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 ただ、死亡数の増加がそれを上回る季節がある。3月などの春先や、10月以降の秋から冬にかけての季節だ。これらの季節は、これまでは暑くも寒くもなく過ごしやすい時期とされてきた。だが、今後温暖化が進むと、従来のように過ごしやすいままではなくなってしまう恐れがある。

 予測では、気候変動が激しくなると、これらの季節で死亡数が大きく増加する結果となった。なお、こうした傾向は、男女別に見ると女性で顕著となっている。概して、男性は夏季、女性は秋季から春季にかけて気候変動の影響を受ける傾向となっている。

 これについては、一般に仕事等の関係で、夏季には男性のほうが女性よりも屋外で過ごす機会が多いことが影響している可能性がある。今後、温暖化が進み、夏季だけではなく3月や10月にも高温の日が増えると、その影響が女性に顕著に表れる可能性があるだろう。