大都市よりも地方で死亡数が大きく増加する要因は?
さらに、地域別に気候変動の影響を見てみよう。
日本全体の死亡数に占める割合が大きい関東甲信や近畿では、気候変動の影響が他の地域に比べて小さい傾向がうかがえる。
大都市では、地方からの若年者の流入が続くため、青年期や壮年期の人口の割合が地方に比べて高い。一方、地方では高齢化が進むとみられる。一般に高齢者のほうが気候変動の影響を受けやすいため、気候変動が激しくなると大都市よりも地方で死亡数が大きく増加するものと考えられる。
また、都市部ではヒートアイランド現象を通じて、気温上昇に対する備えや人々の意識が高くなっている。こうしたことが、大都市で気候変動の影響が他の地域よりも小さいことの要因として挙げられる可能性もある。
男女別に見ると、こうした傾向は男性で顕著になっている。男性のほうが、地方から大都市への若年者の流入が起こりやすいと予想されることがその背景にある。