ここから窺い知れるのは、春節期間中に訪日する中国人観光客のうち、少なからぬ人々が、日本各地のスキー場を訪れるということだ。言わば、日本での中国人観光客の「爆買い」の時代は終わり、「爆滑り」の時代が到来したのだ。
スキー、スノボ人気を利用する「氷雪経済」
中国では、いまからちょうど3年前の2022年2月から3月にかけて、北京冬季オリンピック・パラリンピックを開催。この世界的イベントが契機となって、スキーやスノーボードのブームが起こった。中国政府も、「氷雪経済」(ビンシュエジンジー)と銘打って、このブームを煽(あお)った。
前述のように、中国経済は現在、ドン底の状態にある。特に沈滞しているのが、遼寧省・吉林省・黒竜江省のいわゆる「東北三省」だ。中国の穀倉地帯だが、冬場は雪に覆われる地域が多い。
そこで、東北三省にスキー場などを続々建設し、「氷雪経済」によって活性化させていこうという狙いなのだ。実際、各地にスキー場やスケートリンクなどが作られ、観光客で賑わっている。黒竜江省の省都ハルビンでは、札幌の雪まつりを見習って「氷雪節」を行っている(今年は1月5日に開幕)。
だが、やはりスキー場に関しては、1972年に札幌冬季オリンピックを行い、1998年に長野冬季オリンピックを行った日本に、一日の長がある。私の中国の友人たちも、白馬村のスキー場へ行って感動したと言っていた。
中国人の「爆滑り」は、今後の春節期間の日本の風物詩となるかもしれない。