(写真:中尾由里子/アフロ)
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 中国は、1月28日から2月4日まで、春節(旧正月)の8連休だった。だがその間、周知のように中国製の生成AI「DeepSeek」(深度求索)のショックが、世界中を駆け巡った。

 この降って湧いたように出現したDeepSeek、果たして「中国の奇跡」なのか、それとも「パクリの産物」なのか? 連休が明けるのを待って、中国広東省の旧知のIT企業経営者に話を聞いた。以下は、一問一答である。

DeepSeek創業者は「中国政府が育てたニューヒーロー」

――そちらでは、DeepSeekをどう受けとめているか?

「インストールしてみて、何だこれは、いきなりこんなものができたのか? というのが正直な感想だった。中国版のChatGPTは、いつか出るだろうとは思っていたが、まさか今年の春節に出てくるとは予想していなかったからだ」

――DeepSeekの「生みの親」である杭州幻方科技有限公司の梁文鋒CEOは、一躍時の人となったが、どういう人物なのか?

「春節休みの間、SNSでIT業界の仲間たちと連絡を取り合ったが、『梁文鋒っていったい何者?』というのが、われわれの共通の疑問だった。これまでIT業界では、無名の人物だったからだ。

 だが、李強首相と一緒に写っているCCTV(中国中央広播電視総台)の映像(1月20日に北京で李強首相が主催した座談会に梁文鋒氏が登場した)を見て、ピンときた。中国政府が、アメリカに対抗できる『ニュー・ヒーロー』を育てたんだろうとね。李強首相の出身地と梁文鋒の拠点は、ともに浙江省ではないか」

李首相と会談する「DeepSeek」創業者・梁文鋒氏(提供:Best Image/アフロ)
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