そうなると早晩、「仲間割れ」が始まるに違いない。習近平主席への忠誠心だけで成り立っていた2023年の中国が同様で、足を引っ張られた秦剛(しん・ごう)外相や李尚福(り・しょうふく)国防相らが「失脚」していった。
4年前の「老いぼれバイデン」よりも高齢
第三に、時間的な問題である。任期4年×2期で、8年の長期政権になるかもと思えば、部下たちは従順になる。だが、トランプ大統領は4年後には確実にホワイトハウスから去っているし、そもそも1年10カ月後の中間選挙で敗れれば、残りの任期はレームダックだ。
加えて、78歳7カ月という史上最高齢で大統領に就任したトランプ氏は、2年後には傘寿を迎える。「老いぼれバイデン」と散々毒づいていたが、4年前のジョー・バイデン大統領よりも「5カ月高齢」で大統領職に就いているのである。
ご本人は意気軒高ぶりを振りまいているものの、会見の様子を注視すると、肩が曲がっていて、時折「ふうっ……」と息をついている。飽きっぽい性格もあいまって、いつ政策がなおざりになるか知れないリスクを孕(はら)んでいる。
それにしても、まだ政権が発足して数日が経ったばかりだが、トランプ大統領という政治家は、つくづく「壊し屋」である。まるでゴジラのように、次々と既存のものを踏み潰していく。
そうなると、「その後を誰が再建するのか?」という疑問が湧く。もしかしたら、それは既存の官僚たちや産業界ではなく、大統領就任式に雁首(がんくび)揃えたGAFA(グーグル[アルファベット]、アップル、フェイスブック[メタ]、アマゾン)トップのような面々ではないか。もっと言うなら、「ポスト・トランプ」――次代の大統領には、「ホワイトハウスから最も遠い」と言われるシリコンバレーからやって来る可能性を予見させるのだ。実際、前述のマスク氏はすでに、ホワイトハウスに執務室を与えられている。

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