「30年以内に100万人規模のコロニーが火星にできる」

「火星に人を送るというマスク氏のビジョンはそれほど突飛な話ではなくなるだろう。定期便があれば科学者たちはより多くのチャンスを得ることができる。マスク、トランプ両氏はスターシップがNASAに変革をもたらすのを後押しする可能性がある」(サイエンス誌)

 英紙ガーディアン(1月5日付)は「マスク氏のスターシップに対する希望は巨大ロケットを使って最終的に火星の植民地化を始めたいという願望に近い。4年後に有人飛行、30年以内に100万人規模のコロニーが火星にできるとマスク氏は考えている」と指摘する。

2023年4月8日にNASAの「マーカーバンドバレー」の火星探査機キュリオシティによって撮影された火星地表の画像(提供:NASA/JPL-Caltech/ロイター/アフロ)
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「人類を赤い惑星への旅に送り出し、危険な宇宙放射線に耐え、水がなく、平均気圧が地球(海面レベル)の1%にも満たない世界で食料を栽培する方法を見つけることは控えめに言っても困難だ。人類にとって地球に代わる『プラネットB』は存在しない」(ガーディアン紙)

 スターシップは1月16日、7回目のテスト飛行で爆発し、航空網を混乱させた。マスク氏のスターシップ打ち上げ目標に支障が出る恐れもある。しかしマスク氏はいっこうに気にする様子はない。中国との宇宙開発競争の行方はマスク、トランプ両氏の狂気に委ねられた。

【木村正人(きむら まさと)】
在ロンドン国際ジャーナリスト(元産経新聞ロンドン支局長)。憲法改正(元慶応大学法科大学院非常勤講師)や国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。産経新聞大阪社会部・神戸支局で16年間、事件記者をした後、政治部・外信部のデスクも経験。2002~03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員。著書に『EU崩壊』『見えない世界戦争 「サイバー戦」最新報告』(いずれも新潮新書)。