マーズショット計画の財源は

 67年アポロ1号の地上試験中に火災が発生し、3人の宇宙飛行士が死亡。その悲劇を乗り越え、69年、アポロ11号のニール・アームストロング船長が人類で初めて月面に立ち、「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である」との言葉を残した。

 米国はアポロ計画に258億ドル(2020年時点でインフレ調整後2570億ドル)を費やした。アポロ計画を可能にしたジェミニ計画とロボット月面計画を加えると計280億ドル(同2800億ドル)。この間、NASAには494億ドル(同4820億ドル)が注ぎ込まれた。

 米国の時限爆弾は開きすぎた格差と膨張する政府債務だ。米議会予算局によると政府債務は国内総生産(GDP)比97.8%から2035年には118.5%に達する見通しだ。利払い増加分やトランプ氏による減税分を加味すれば債務はさらに膨らむ恐れがある。

 第2次トランプ政権で歳出削減や規制緩和を進める助言機関「政府効率化省(DOGE=ドージ)」を率いるマスク氏はトランプ氏から米連邦予算から5000億ドルを削減することを許されている。マーズショット計画の財源はおそらくそこから捻出される。