コンクリートの巨大建造物も倒壊
神戸の中心部、三宮駅方面に向かった。
阪神高速は約1キロにわたって橋桁が根元から折れ、傾き、横倒しになっていた。巻き込まれた何台もの乗用車やトラックが脇に引っくり返っている。倒れたコンクリートの橋脚が通りかかった大型トレーラーの運転席を押し潰していた。
三宮、この神戸きっての繁華街も破壊された姿のままで、朝を迎えていた。
大通りに面したビルの窓から、パソコンのディスプレイが今にも落ちそうにぶら下がっていた。大きく歪んだ銀行の建物の窓からブラインドが飛び出し、冬の風にひらひらしている。
「さすがは大銀行さんや! 粘りが違うわ」
「ほんま、お洒落に壊れはったもんやね」
そんな会話が聞こえてきた。
「あっちでビルが倒れとるぞ。昨日は傾いとったんやけど、余震で完全に行きよったんや」
と、一人のおじさんが教えてくれた。
教えられたとおりに駅から山の手に向かうフラワーロードを行くと、10階建てのビルがそのままの形でバッタリと根元から折れ、ちょうど道を塞ぐように倒れていた。
「そやけどぴったりの幅やな」
「人ひとりも通れへんな」
ここでも近所の人が出て、関西ワールド全開の会話が飛び交う。