同時に、こうしたシリア人によるプロセスに国際社会がどれほど寄り添って支援を継続できるかが、シリアのような脆弱な国家が再び立ち上がるために、なくてはならないことも改めて想起する必要がある。
筆者のWhatsAppアプリには、毎日のようにシリアの友人たちからのメッセージが届いている。いずれも日本の直接的な支援や日本のビジネスの進出を強く期待する熱いメッセージだ。
この週末にも、ダマスカスでシャラアと2時間近く会談したというシリア人ビジネスマンたちから筆者にその様子が伝わってきた。いずれのビジネスマンも、シャラアが深く物事を考える好人物との印象を受けたようだ。セクタリアンな発想は全くなく、新生シリアにおいては、人材は、民族や宗教に関係なく、能力本位で活用すべしといった、しっかりとした考えを強調していたとのこと。
同時に、好ましい動きとしては、在外に住む富裕なシリア人の多くが、シリアの復興のために自らの資金を拠出したいとも言い出し始めているという。祖国の復興を願う、こうしたシリア人の生真面目さには、日本人とも相通ずるところがある。自ら助くる者こそ助けるに値しよう。
なお、暫定政権の経済閣僚をはじめとしてシリア人が感じている最も喫緊の課題は、やはり電力不足だという。1日にせいぜい2時間か3時間ほどの電力供給しかないシリアの現状では、復興はままならない。例えば、カタールをはじめとする湾岸諸国の支援と連携しつつ、電力や医療機材といった分野に強い日本のビジネスによるシリアへの支援が実現することを強く期待したい。
中東全体の安定のためにも、日本を含め国際社会は、こうした希望にあふれるシリアの人々の期待を裏切ることはできないだろう。シリア人の強い意志と国際社会の支援こそが、シリアの未来を決めることになることは間違いない。