イランの「核武装」懸念も
サウジアラビア政府は1月1日、麻薬密売の容疑でイラン人6人を処刑した。これにイラン政府が「国際法違反だ」と猛反発している。
両国は2016年にも、サウジアラビアがイランのシーア派聖職者を処刑したことが仇(あだ)となり、外交関係を断絶した経緯がある。
両国関係に再び亀裂が生じれば、フーシ派によるサウジアラビアの石油関連施設への攻撃が再開されるのではないかとの不安が頭をよぎる。
サリバン米大統領補佐官(国家安全保障担当)が12月22日に指摘したように、追い詰められているイランが核兵器を製造するとの危惧が強まっている。そうなれば、中東地域全体が緊迫化する可能性も排除できなくなっている。
原油の中東依存度が世界一高い日本にとって由々しき事態が2025年も続きそうだ。
藤 和彦(ふじ・かずひこ)経済産業研究所コンサルティング・フェロー
1960年、愛知県生まれ。早稲田大学法学部卒。通商産業省(現・経済産業省)入省後、エネルギー・通商・中小企業振興政策など各分野に携わる。2003年に内閣官房に出向(エコノミック・インテリジェンス担当)。2016年から現職。著書に『日露エネルギー同盟』『シェール革命の正体 ロシアの天然ガスが日本を救う』ほか多数。