フーシ派が中東の原油供給を脅かす

 イスラエル軍の1年以上にわたる攻撃により「抵抗の枢軸」(イランが支援する中東地域における武装組織のネットワーク)は戦闘不能の状態に近づいている。唯一気を吐いているのはイエメンの親イラン武装組織フーシ派だ。

 フーシ派は12月21日、ミサイルでイスラエルの商都テルアビブを攻撃し、16人の負傷者が出た。フーシ派は25日にもミサイルを発射している。

イエメンの首都でフーシ派支持者による集会が開かれた=2024年12月27日撮影(写真:ロイター/アフロ)

 これまでのところ、イスラエル側の被害は軽微だが、数百万人規模の避難民が発生する事態となっており、イスラエル政府は窮地に追い込まれている。

 これに焦ったネタニエフ首相は「フーシ派の指導者全員を追い詰める」と宣言、イスラエル軍は猛攻を仕掛けているが、フーシ派は攻撃の手を緩めようとしない。

 中東産原油の供給途絶を警戒する声が少なくなっている中、12月28日付ブルームバーグは「中東地域で原油供給を脅かすリスクが高まっている」と報じた。原油供給に支障を生じさせる要素がなかったハマスやヒズボラから、サウジアラビアと事実上戦争状態にあるフーシ派へと紛争の中心が移行しつつあるからだ。

 フーシ派は2019年9月にドローン攻撃でサウジアラビアの原油生産能力の約半分に大打撃を与えたという「前科」がある。

 2023年3月にイランがサウジアラビアと国交を回復させたことを受け、フーシ派はサウジアラビアへの攻撃を停止した。しかし、中東の両大国が再び対立する火種が生まれている。