2.日本国内でのDC建設ラッシュの現状
(1)データセンターへの投資ラッシュ
今、日本では外資系IT企業によるデータセンター投資ラッシュが起こっている。
米国のIT大手オラクルは2024年4月18日、日本のAI需要の拡大などに対応するため今後10年間で80億ドル、日本円換算で約1.2兆円以上をデータセンターに投資する計画を明らかにした。
また、2024年4月10日にはマイクロソフトが4400億円の投資を発表した。
昨年はアマゾン・ドットコムがAWS(アマゾンウェブサービス)の日本向けデータセンター投資を2兆2600億円規模で行うと発表した。
2022年にはグーグル(アルファベット)が1000億円の投資を発表しており、今回のオラクルの発表は、数多くある案件の一つにすぎない(出典:会社四季報)。
このような海外からの投資ラッシュを受けて、日本経済新聞は2024年6月2日付け社説で「データセンター投資を持続的成長の起点に」という主張を述べている。
その中で、課題として、電力量が大幅に増加することへの対応、脱炭素との両立、日本が得意とする省エネ技術の開発などを挙げている。
(2)外国企業が日本にデータセンターを建設する理由
本項は、インターネットイニシアティブ(IIJ)平川 一貴氏著「データセンターはどこにある?「場所」が大切な理由とその選定ポイントとは」(2023年11月30日)を参考にしている。
データセンター選びには施設の堅牢さや内部の設備の充実度が重要な要素になるが、もう一つ外せない条件がある。
それが「場所」である。
データセンターがどこにあるかによって、事業継続性や運用のしやすさが変わってくるからである。
国内でビジネスを展開する企業や官公庁、自治体は国内のデータセンターが大前提になるが、海外に拠点がある場合やグローバル企業は、海外のデータセンターも選択肢になる。
場所選定の観点で、日本のデータセンター建設のメリットとして挙げられるのは「地政学リスク」「自然災害リスク」「電力供給の安定度」「運用体制」「コスト」の5つである。