大統領執務室の移転にシャーマンの影響?

 映画に登場するシャーマンはチョンゴン氏。長髪を後頭部から左胸部に垂らし、法衣風の純白な韓服に身を包んでいる姿がYouTubeなどにアップされている。見るからに、スピリチュアルな世界の人物だ。

韓国・尹大統領との関係が指摘されているチョンゴン氏(チョンゴン氏の公式YouTube「正法」https://www.youtube.com/@jungbub2013より)

 映画では、金夫人を介してチョンゴン氏が尹大統領の意思決定に影響を及ぼしていた可能性が指摘されている。具体的には、尹大統領が候補者時代から政策の一丁目一番地として位置づけていた大統領執務室の移転計画だ。

 大統領就任の朝、尹氏はソウルの青瓦台にあった大統領執務室を、3キロほど南方の龍山(ヨンサン)にある国防部庁舎に移転した。

 誰もがその理由に首を傾げたのだが、映画では大統領執務室の移転に関するチョンゴン氏へのインタビューが紹介されている。尹大統領就任後の2022年12月、チョンゴン氏のオフィスで収録されたもので、カーテンを開けると、龍山にそびえる移転後の大統領執務室がある国防部庁舎がよく見える。それを指してチョンゴン氏はこう語るのだ。

「10年くらい前の2012年ごろから、あそこからの気の流れを感じたため、大統領が移転してくるべきだと考えるようになった」

 やがて金夫人がチョンゴン氏と親しくなり、2017年ごろから「たびたび(チョンゴン氏の)講演を聴いていた」という。映画は、大統領執務室の移転にはチョンゴン氏の意向を受けた金夫人の影があったことをほのめかす。実際、チョンゴン氏は、執務室の移転先が検討されていたときに陸軍参謀総長公館を訪ねている。これは常識では考えられないと、映画では指摘されている。