紅白に出場するILLIT(アイリット)(写真:OSEN/共同通信イメージズ
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(平井 敏晴:韓国・漢陽女子大学助教授)

 今年のNHK紅白歌合戦には、3組のK-POPグループが出場する。紅組は5人組のILLIT(アイリット)と4人組のaespa(エスパ)、白組は9人組の&TEAM(エンティーム)である。

 K-POPという言葉はよく聞くが、具体的な定義はない。J-POPと分けるために日本で90年代から多く用いられるようになった。一般的にK-POPと位置付けられるのは、韓国の芸能事務所に所属し、アメリカのポップ音楽、ヒップホップ、ラップなどを取り入れた楽曲に、キレのあるダンスを披露するアイドルグループだ。

 紅白に複数のグループが呼ばれるくらいだからK-POPは日本で一定の人気があるわけだが、例えば、今年の出場グループ3組についてはっきりとイメージが湧く人がどれだけいるだろうか。おそらく、好きであるかどうか以前に、「どうもピンとこない」という人も少なくないだろう。

 私は50代半ばだが、日本に一時帰国したときも同年代の男性たちからは「K-POPってわからない」という話をよく耳にする。その理由としては、「そもそもグループ名の読み方がわかりにくい」とか、「どのメンバーも同じように見える」とか…。

 つまりはグループやメンバーの個性がわかりにくいというものだ。しかしこれらは、中高年になって現れる兆候として、K-POPに限らず、J-POPのアイドルグループにも言われてきたことだ。

 もちろん、誰もがK-POPにピンとこない、というのでは決してない。女性を中心にK-POPアイドルの推し活に励むファンは一定数いる。

 その根拠を示すのが、NHK放送文化研究所が2024年2月に実施した、「推し」を持つ人のメディア利用の実態を把握するためのアンケート調査である。